楽天スーパーロジスティクス(RSL)の概要やメリット料金などを解説!

EC事業の運営において物流は大きな課題です。特に在庫管理や発送作業に時間を取られ、本来注力すべき販売戦略やマーケティングに集中できないという悩みを抱える出店者は少なくありません。そこで今回は、物流アウトソーシングサービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」について、その概要や料金について詳しく解説します。
目次
楽天スーパーロジスティクス(RSL)とは
楽天スーパーロジスティクス(RSL)は、楽天市場に出店している店舗向けに提供される総合的な物流アウトソーシングサービスです。商品の入荷から保管、出荷、配送までの物流業務を一括で代行し、店舗運営者が販売やマーケティングといったコア業務に集中できる環境を提供します。全国各地に物流拠点を展開しており、効率的な出荷体制を構築しています。
RSLの主要拠点
RSLは日本全国に複数の物流拠点を設けており、地域ごとの配送効率を最大化しています。主な拠点としては、千葉県(流山・習志野)、神奈川県(大和)、大阪府(枚方)、福岡県(糟屋郡)などがあります。これらの拠点を戦略的に配置することで、全国どこへでも迅速な配送を実現しています。各拠点では最新の物流テクノロジーを導入し、正確かつスピーディな出荷処理を行っています。
楽天RSLが提供する主なサービス内容
RSLでは、EC運営に必要な様々な物流業務をワンストップで提供しています。基本的なサービスから付加価値の高いオプションまで、幅広いニーズに対応しています。
商品の入荷・保管サービス
RSLでは、出店者から送られてきた商品の入荷検品を行い、適切な環境で保管します。入荷時には商品の数量や状態を確認し、バーコード管理によって在庫の正確な把握を実現。また、倉庫内では商品特性に合わせた保管を行うことで、品質を維持しながら効率的な在庫管理を提供しています。さらに、在庫状況はリアルタイムで確認できるシステムが整備されており、適切な在庫補充のタイミングを判断することが可能です。
ピッキング・梱包・発送代行
注文が入ると、RSLのスタッフが迅速に商品をピッキングし、適切な梱包を行った上で発送します。15時までの注文であれば翌日配送(あす楽)に対応しており、顧客満足度の向上に貢献します。また、365日出荷対応しているため、繁忙期や休日でも安定した出荷が可能です。梱包資材はロゴなしの標準対応も行っており、ブランドイメージを損なうことなく商品を届けることができます。
付加価値サービス
基本的な物流業務に加え、RSLでは以下のような付加価値サービスも提供しています。
- ギフトラッピングサービス(メッセージカードやオリジナル包装にも対応)
- 販促物やチラシの同梱サービス(全注文または特定注文に対応)
- 返品・交換対応
- 海外からのコンテナ入荷対応
これらのサービスを活用することで、物流業務の効率化だけでなく、顧客体験の向上やブランディング強化にもつなげることができます。
楽天RSLを利用するメリット
RSLを活用することで、EC事業者は様々なメリットを享受できます。物流業務の効率化から顧客満足度の向上まで、多角的な効果が期待できるサービスです。
業務効率化とリソースの最適配分
RSLを導入することで、物流作業が不要になるため、人員や時間を商品企画や集客活動といった本業へ振り分けることができます。ECビジネスにおいて、差別化を図るためには商品力や販売戦略の強化が欠かせません。物流業務をプロに任せることで、経営資源を戦略的な業務に集中投下できるようになります。これにより、事業全体の成長速度を加速させることが可能です。また、季節変動や販促による受注増減に柔軟に対応できるため、人員配置の悩みからも解放されます。
スケールメリットによるコスト削減
自社で物流業務を行う場合、倉庫の賃料や人件費、資材費などの固定費が発生しますが、RSLでは利用した分だけの変動費として計上できます。特に取扱商品数や売上が少ない段階では、固定費の負担が大きくなりがちですが、RSLを利用すれば初期投資を抑えながら事業を展開できます。また、複数の出店者の商品をまとめて配送することで、スケールメリットを活かした経済的な運営が可能となり、特に配送料金面では大きな競争力を持っています。出荷量に応じた段階的な料金設定も魅力の一つです。
配送品質と顧客満足度の向上
物流のプロフェッショナルが管理するRSLでは、配送ミスの防止や商品の破損リスク軽減など、高い品質基準によるサービスを提供しています。365日出荷対応やあす楽対応により、顧客の期待に応える迅速な配送が実現します。また、全国一律料金での配送が可能なため、北海道や沖縄・離島の顧客にも追加料金なしでサービスを提供できます。これらの要素が組み合わさることで、顧客満足度の向上につながり、リピート購入やクチコミによる新規顧客獲得にもプラスの影響を与えます。
多様なECプラットフォームへの対応
RSLは楽天市場以外の他モール(Amazon、Yahoo!ショッピングなど)で受注した商品も追加料金なしで発送可能です。これにより、複数のECプラットフォームで販売している事業者でも、物流を一元管理することができます。モールごとに異なる物流システムを使い分ける必要がなく、在庫管理も一括で行えるため、マルチチャネル戦略を効率的に展開することができます。将来的な事業拡大やチャネル多様化を検討している事業者にとって、大きなアドバンテージとなります。
楽天RSLの料金体系と具体例
RSLの料金体系は明確で理解しやすい構造になっています。主に4つの要素から構成され、利用する商品のサイズや数量によって料金が変動します。
RSL料金の基本構成要素
RSLの料金は大きく分けて以下の4つの要素から構成されています。
料金項目 | 内容 |
---|---|
1. 在庫保管料 | 商品を保管するスペースに応じた料金。商品の体積と保管日数によって計算 |
2. 出荷作業料 | 商品のピッキング・梱包などにかかる費用。商品サイズによって異なる |
3. 資材料 | 梱包に使用する段ボールや緩衝材などの資材費用 |
4. 配送料 | 顧客への配送費用。一定サイズまでは全国一律料金 |
在庫保管料は、商品の体積に比例して計算されます。計算式は「7.5円/月/PCS × 商品体積(cm³) ÷ 1000」が基本です。出荷作業料は商品サイズ(極小~大サイズ)によって設定されており、商品のピッキングや梱包作業の手間を反映しています。資材料は使用する梱包資材の種類によって異なり、配送料は60~100サイズの場合は全国一律380円(税込)となっています。※2025年4月時点
具体的な料金計算例
例えば、80サイズの商品を10日間保管して発送する場合、以下のように料金が計算されます。
項目 | 金額(税抜) | 計算内訳 |
---|---|---|
在庫保管料 | 19円 | 商品体積と保管日数(10日)に基づく計算 |
出荷作業料 | 80円 | 80サイズの商品に対する標準料金 |
資材料 | 39円 | 80サイズ用の段ボールと緩衝材 |
配送料 | 380円 | 80サイズ全国一律料金 |
合計 | 518円 | 税抜金額 |
このように、商品一点あたりの発送コストが明確に把握できます。また、複数商品をまとめて発送する場合にも、同様の計算方法で料金が算出されます。なお、大型商品(三辺合計が160cmを超えるもの)については、別途見積もりが必要となります。
他モール出荷時の料金について
RSLの大きな魅力の一つとして、楽天市場以外のECモール(Amazon、Yahoo!ショッピングなど)で受注した商品も、基本的に同じ料金体系で発送できる点が挙げられます。他の物流サービスでは他モール出荷に追加料金がかかるケースが多い中、RSLではこの点で大きなコストメリットがあります。ただし、一部の特殊な対応や受注連携システムによっては、小額の追加手数料が発生する場合があるため、事前の確認が必要です。
楽天RSL利用の注意点と制限事項
RSLを効果的に活用するためには、サービスの制限事項や注意点を理解しておくことが重要です。導入前に以下のポイントを確認しておきましょう。
取扱商品の制限
RSLでは取り扱えない商品カテゴリがいくつか存在します。特殊な保存条件が必要な商品や、法規制のある商品などは対象外となっているケースが多いです。具体的には以下のような商品が該当します。
- 医薬品・医薬部外品(薬機法の規制対象)
- 生鮮食品・冷蔵・冷凍商品(温度管理が必要なもの)
- 高額品・貴金属(特別な管理が必要なもの)
- 危険物(発火性・引火性のあるもの)
- 大型商品(三辺合計160cmを超えるもの)
また、商品にはバーコード管理が必須となるため、JANコードなどのバーコードがない商品を扱う場合は、別途対応が必要になります。倉庫内の温度は一般的に0〜40℃程度で変動するため、温度変化に弱い商品の取り扱いには注意が必要です。
長期在庫の扱い
RSLでは、長期間出荷されない在庫に対して追加手数料が発生する場合があります。これは倉庫スペースの効率的な活用を目的としたもので、一定期間(通常3か月以上)在庫が動かない場合に適用されることがあります。そのため、季節商品や販売サイクルの長い商品を取り扱う場合は、この点を考慮した在庫計画が必要です。また、定期的な在庫確認を行い、動きの悪い商品は適宜引き上げるなどの対応を検討するとよいでしょう。
システム連携の必要性
RSLを利用するには、受注管理システムの導入が必須条件となります。具体的には、ネクストエンジン、BOSS、助ネコなどの受注管理システムを使って、楽天市場をはじめとする各ECモールからの受注情報をRSLに連携させる必要があります。このシステム導入には別途費用がかかるため、トータルコストを計算する際にはこの点も考慮すべきです。また、システム連携の設定やカスタマイズには初期段階でいくらかの時間と手間がかかることも念頭に置いておきましょう。
楽天RSLとAmazon FBAの比較
EC事業者にとって、物流サービスの選択は重要な経営判断です。ここでは、RSLとよく比較されるAmazon FBA(フルフィルメント by Amazon)の違いを解説します。
料金体系と柔軟性の違い
RSLとFBAの最も大きな違いの一つは、マルチチャネル対応の料金設定です。RSLでは他モール出荷も同一料金で対応しているのに対し、FBAでは他モール出荷に別料金が発生します。これは複数のECサイトで販売している事業者にとって大きな差異となります。
また、料金体系についても、RSLは比較的シンプルな4つの要素で構成されているのに対し、FBAはより細分化された複雑な体系となっています。長期保管手数料などの追加費用についても条件が異なるため、自社の商品特性や販売パターンに合わせた選択が重要です。
配送スピードとブランディング
配送スピードについては、RSLは翌日配送(あす楽)まで対応しているのに対し、FBAでは一部エリアで当日配送も可能となっています。ただし、RSLは365日出荷に対応しており、安定した配送スピードを維持している点が評価されています。ブランディングの観点では、RSLの梱包資材はロゴなし対応が標準である一方、FBAではロゴなし梱包には別途申請が必要です。自社ブランドの確立を重視する事業者にとっては、この違いも選択の判断材料となるでしょう。
配送品質と安定性
配送業者については、RSLは主に日本郵便と提携している一方、FBAは多数の配送業者を併用しています。そのため、FBAでは配送業者によって品質にばらつきが生じる可能性があります。また、RSLは楽天グループの公式サービスとして安定した運営が期待できますが、FBAは利用規約やルールの変更が比較的頻繁に行われる傾向があります。長期的な視点で物流パートナーを選ぶ場合には、これらの安定性も考慮すべき要素です。
楽天RSLの導入手順と流れ
RSLの導入を検討している場合、具体的な手続きの流れを知っておくことが重要です。ここでは、RSL導入の一般的なステップを解説します。
導入前の準備と見積もり依頼
RSL導入の第一歩は、見積もり依頼から始まります。楽天市場の出店者向けページからRSLについての問い合わせを行うか、担当のパートナーセールスに相談するのが一般的です。見積もり依頼の際には、以下の情報を準備しておくと円滑に進みます。
- 取扱商品の詳細(サイズ、重量、個数など)
- 月間の想定出荷量
- 現在の物流状況(自社倉庫か外部委託か)
- 特殊な対応が必要な商品の有無
これらの情報をもとに、RSL担当者が自社の状況に最適な提案と見積もりを作成してくれます。複数の商品を取り扱っている場合は、代表的な商品のサンプルを送付して具体的な料金シミュレーションを依頼することもできます。
契約締結と導入準備
見積もりの内容に問題がなければ、契約締結に進みます。契約書の内容を確認し、サービス開始日やスケジュールを決定します。契約締結後は、以下のような準備作業が必要となります。
- 受注管理システムの導入・設定(まだ導入していない場合)
- 商品マスターの登録(バーコード情報や商品詳細の登録)
- 初回入荷商品の準備
- 在庫移管計画の策定(既存在庫がある場合)
- スタッフへの教育・研修
これらの準備が整ったら、テスト運用を行い、問題がないことを確認した上で本格的な運用に移行します。導入初期には担当者によるサポートが手厚く提供されるため、疑問点や不安な点はこの段階で解消しておくことをおすすめします。
運用開始後のフォローアップ
RSLの運用開始後も、定期的なフォローアップが行われます。特に導入初期は、以下のような点に注意しながら運用状況を確認していくことが重要です。
- 出荷状況や納期の遵守状況
- 商品の破損や配送トラブルの有無
- 在庫の正確性
- コスト面での予測との差異
問題が発生した場合は、早めに担当者に相談し、改善策を講じることが大切です。また、季節商戦や大型セールの前には、事前に担当者と打ち合わせを行い、出荷量の増加に対応できる体制を整えておくとよいでしょう。運用が安定してきたら、定期的に物流コストの分析を行い、より効率的な運用方法を検討していくことをおすすめします。
楽天RSLが最適なECビジネスのケース
RSLはすべてのEC事業者に適しているわけではありません。ここでは、RSLの導入が特に効果的なビジネスケースについて解説します。
楽天市場を中心に運営している店舗
RSLは楽天市場との親和性が非常に高く、システム連携もスムーズです。特に楽天市場での売上が中心、あるいは楽天市場の売上拡大を目指している店舗にとっては、RSLの導入が大きなメリットをもたらします。楽天市場のプロモーション(SPU:スーパーポイントアッププログラムなど)との連携もスムーズで、顧客に対してより魅力的な購入条件を提示できます。
また、楽天市場内での検索結果表示においても、RSL利用店舗は「あす楽」対応として優遇される傾向があり、集客面でも有利に働きます。楽天エコシステム内での成長を目指す店舗には、最適な選択肢といえるでしょう。
物流業務の負担軽減が喫緊の課題である店舗
現在、物流業務に多くの時間や人員を割いており、本来注力すべき商品企画や販売促進に十分なリソースを投入できていない店舗にとって、RSLは理想的な解決策となります。特に以下のような状況に当てはまる場合は、RSLの導入を積極的に検討すべきでしょう。
- 出荷作業の遅延や配送ミスが発生している
- 繁忙期の人員確保が難しい
- 物流コストが売上に対して高い割合を占めている
- 倉庫スペースの確保や拡張が困難
RSLの導入により、これらの課題を一気に解決し、本業に集中できる環境を整えることができます。特に成長フェーズにある店舗では、物流業務のアウトソーシングによって成長速度を加速させることが可能です。
マルチチャネル展開を行っている、または計画している店舗
楽天市場だけでなく、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社ECサイトなど、複数のチャネルでの販売を行っている、または計画している店舗にとって、RSLは理想的な物流パートナーです。複数のチャネルで販売する場合、在庫管理の複雑さが課題となりますが、RSLを活用することで在庫を一元管理でき、欠品リスクを低減できます。また、各モールの特性に合わせた販売戦略に集中することができ、チャネルごとの最適化も進めやすくなります。
まとめ
本記事では楽天スーパーロジスティクス(RSL)の概要、メリット、料金体系、導入手順などを詳しく解説しました。RSLは物流業務の効率化を通じて、EC事業者のビジネス成長を支援する強力なサービスです。
- RSLは商品の入荷から保管、出荷、配送までの物流業務を一括で代行するサービス
- 主なメリットは業務効率化、コスト削減、高品質な配送サービス、マルチチャネル対応
- 料金体系は在庫保管料、出荷作業料、資材料、配送料の4要素で構成
- 楽天市場中心の店舗や物流負担軽減が必要な店舗に特に適している
- 導入前には取扱商品の制限や受注管理システムの必要性を確認することが重要
EC事業の成長には、コア業務への集中と効率的なリソース配分が不可欠です。自社の状況や目標に合わせてRSLの活用を検討し、物流の最適化を図ることをおすすめします。まずは楽天パートナーズや公式サイトから、詳細な情報や見積もりを依頼してみましょう。
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