【初心者向け】徹底解説!WEBデザインの印象が劇的に変化するフォントの選び方

フォントの選定はWebサイトの印象を大きく左右し、適切なフォントを選ぶだけで雰囲気を一変させられます。本記事では、EC運営に関わるWEBデザイナーやディレクターの方々に向けて、フォントの基礎知識から選び方のポイント、効果的な組み合わせ方まで徹底解説します。
目次
WEBデザインにおけるフォントの重要性
フォントは「文字の見た目」以上の役割を担っています。適切なフォントの選択は、ブランドイメージの確立、読みやすさの向上、ユーザー体験の質の向上につながります。特にECサイトでは、商品の魅力を伝え、顧客の購買意欲を高めるために、フォント選びは極めて重要な要素です。
実際に、同じコンテンツでもフォントを変えるだけで、高級感のある洗練されたサイトにも、親しみやすいカジュアルなサイトにも変化させることができます。また、視認性の高いフォントを選ぶことで、ユーザーの滞在時間延長や情報の理解促進にもつながります。
WEBデザインで使用されるフォントの種類と特徴
フォントは大きく和文フォントと欧文フォントに分けられます。それぞれの特徴を理解し、サイトの目的に合わせて最適なフォントを選びましょう。
和文フォント
日本語の表示に使用されるフォントで、主に以下の種類があります。
- 明朝体:縦画が太く横画が細いのが特徴です。高級感、伝統、信頼感を表現しやすく、金融機関や老舗企業のサイトによく使われています。長文の読みやすさにも優れていますが、小さいサイズでは視認性が低下する点に注意が必要です。
- ゴシック体:線の太さが均一で、シンプルかつ力強い印象を与えます。視認性が高く、多くのWEBサイトのボディテキストに採用されています。様々な分野のサイトに適合する汎用性の高さも魅力です。
- 筆書体・デザイン書体:手書き風や個性の強いフォントで、短い見出しや特別なアクセントとして効果的です。和風テイストや高級感の演出に適していますが、長文での使用は推奨されません。
欧文フォント
アルファベットや数字を表示するためのフォントで、主に以下の種類があります。
- セリフ体(明朝体に相当):文字端に飾り(セリフ)があり、伝統的で高級感のある印象を与えます。Times New Roman、Garamondなどが代表的で、フォーマルな印象のサイトに適しています。
- サンセリフ体(ゴシック体に相当):セリフがなくシンプルでモダンな印象を与えます。Arial、Helvetica、Futuraなどが代表的で、視認性の高さから多くのWEBサイトで使用されています。
- スクリプト体:流れるように文字が繋がる手書き風のフォントです。装飾的な要素として、ロゴやヘッダーなどに限定的に使用されることが多いです。
WEBデザインのフォント選びの基本ポイント
フォント選びにおいて、以下の3つの基本ポイントを押さえましょう。これらのバランスを考慮して選ぶことで、魅力的かつ機能的なWEBデザインが実現します。
視認性 - 一目で文字を認識できるか
視認性は、遠くからでも、あるいは一瞬見ただけでも文字を認識できる性質を指します。特にバナーやヘッダー、ナビゲーションなど、ユーザーが短時間で認識する必要がある部分では重要な要素です。一般的にゴシック体(サンセリフ体)は視認性に優れており、道路標識や注意喚起など、急いで情報を伝える場面で効果的です。
ECサイトでは、商品カテゴリーや価格表示、セール情報などに視認性の高いフォントを使用することで、ユーザーの購買行動を促進できます。文字と背景のコントラスト、適切なフォントサイズの設定も視認性向上には欠かせません。
可読性 - 長文を読み続けられるか
可読性は、長い文章を読み続ける際の読みやすさを指します。商品説明や企業理念など、まとまった量のテキストを読ませる場合に重要です。明朝体は行間のリズムが良く、長文の可読性に優れているとされていますが、WEB上では画面解像度の制約から、ゴシック体の方が可読性が高いケースも多いです。
可読性を高めるためには、フォントの選択だけでなく、適切な行間や文字間隔の設定、1行あたりの文字数(45〜75文字程度が理想)にも注意が必要です。また、段落の区切りを明確にし、適度な余白を設けることも重要です。
判読性 - 文字が誤認されないか
判読性は、各文字が他の文字と混同されにくいかどうかを示します。例えば、数字の「1」(イチ)とアルファベットの「l」(エル)、「O」(オー)と「0」(ゼロ)などが明確に区別できるかどうかが判読性に関わります。
特に、ユーザーが入力フォームに情報を入力するECサイトでは、判読性の高いフォントを使用することでユーザーエラーを減らし、コンバージョン率の向上につながります。最近はUD(ユニバーサルデザイン)フォントなど、誰にでも読み取りやすいよう工夫されたフォントも増えているので、特に重要な情報表示にはこうしたフォントの採用も検討できます。
効果的なフォント混植のテクニック
フォント混植とは、複数のフォントを組み合わせて使用するテクニックです。適切な組み合わせを選ぶことで、サイトの表現力や読みやすさが向上します。ここでは、WEBデザインで効果的なフォント混植の方法と、おすすめの組み合わせを紹介します。
基本的な混植ルール
フォント混植を行う際は、以下のルールを意識すると調和のとれたデザインになります。過度な装飾や無秩序な組み合わせは視覚的な混乱を招くので、全体のバランスを考えてシンプルにまとめることを意識しましょう。
- コントラストを意識する:見出しと本文など、役割の異なる部分には異なるフォントを使用し、視覚的な階層を作りましょう。例えば、見出しにセリフ体、本文にサンセリフ体を使うなどです。
- 使用するフォントは2〜3種類:多すぎるフォントは統一感を損ない、雑然とした印象になります。基本的には見出し用と本文用の2種類で十分です。
- フォントの性格を理解する:各フォントが持つ印象や特性を理解し、サイトのコンセプトに合った組み合わせを選びましょう。
おすすめのフォント組み合わせ
WEBデザインで効果的な和文・欧文フォントの組み合わせをいくつか紹介します。
- UD黎ミン × Garamond
和文の落ち着きと欧文のクラシカルな雰囲気が調和し、高級感と読みやすさを両立したコンビネーションです。アパレルや高級ブランドのECサイトに適しています。 - 源ノ角ゴシックJP × Futura PT
現代的でクリーンなイメージを作り出す組み合わせです。視認性と可読性に優れ、テクノロジー関連や現代的なECサイト全般に適しています。 - 秀英丸ゴシック × VAG Rundschrift
丸みのある優しい印象のフォント同士の組み合わせで、親しみやすさを演出します。子供向け商品や女性向けのECサイトと相性が良いでしょう。 - しあさって × AB椿
個性的な和文書体同士の組み合わせで、独創的で魅力的なデザインを作り出せます。特に和風テイストや伝統工芸品などを扱うECサイトで効果的です。
合成フォントの活用方法
合成フォントとは、漢字、かな、数字など文字種ごとに異なるフォントを組み合わせて作る「仮想的なフォント」です。これを活用することで、より細かくフォントをコントロールし、サイトの表現力を高められます。
Illustratorでの合成フォント設定方法
Adobe Illustratorを使用した合成フォントの設定方法は次の通りです。
- メニューから「書式 → 合成フォント」を選択します。
- 「新規合成フォント」ボタンをクリックし、作成する合成フォントに名前を付けます。
- 「漢字」「かな」「全角約物」「欧文」など、パートごとに希望のフォントを設定します。
- 設定完了後、作成した合成フォントは文字パネルから選択できるようになります。
例えば、漢字は「源ノ角ゴシック」、ひらがなは「筑紫A丸ゴシック」、英数字は「Avenir」という風に設定できます。こうすることで、漢字の力強さとひらがなの柔らかさ、英数字のスタイリッシュさを同時に表現できます。
WEBフォントサービスの活用
WEBフォントサービスを利用すると、ユーザーの環境に依存せず、デザイナーが意図したフォントでサイトを表示できます。ECサイトの統一感あるブランドイメージ構築に役立ちます。
Google Fonts
無料で利用できる人気のWEBフォントサービスです。日本語フォントも充実しており、簡単な実装で美しいタイポグラフィを実現できます。さまざまなデザインに対応しているため、初心者からプロフェッショナルまで広く使われています。
日本語フォントでは「Noto Sans JP」「Noto Serif JP」「M PLUS 1p」などが人気です。いずれも視認性と可読性に優れており、様々なECサイトで活用できます。
Adobe Fonts
Adobe Creative Cloudの契約者が利用できる高品質なフォントサービスです。商用利用可能な和文・欧文フォントが豊富に揃っており、プロフェッショナルなデザインを実現できます。
特に「リュウミン」「筑紫ゴシック」「新ゴ」などの高品質な和文フォントが利用でき、ECサイトの格調を高めることができます。実装方法はAdobe Creative Cloud管理画面から簡単に行えるため、デザイナーとの連携もスムーズです。
フォントの最適なサイズと行間設定
フォントの種類選びと同様に重要なのが、適切なサイズと行間の設定です。これらの要素は読みやすさに直結し、ユーザー体験を大きく左右します。
基本的なフォントサイズの目安
WEBデザインにおける基本的なフォントサイズの目安は以下の通りです。ただし、フォントの種類や表示デバイスによって見え方が異なるため、実際の見え方を確認しながら調整する必要があります。
- 本文テキスト:16px~18px程度が一般的です。小さすぎると読みづらく、大きすぎると一度に表示できる情報量が減ります。
- 見出し(H1):28px~32px程度が一般的です。ページの主要な見出しとして目立つサイズにします。
- 見出し(H2):24px~28px程度が一般的です。セクションの区切りを明確にする役割があります。
- 見出し(H3):20px~24px程度が一般的です。小見出しとして本文との区別を付けるサイズです。
- 注釈・補足情報:14px程度が一般的です。ただし、重要度の低い情報とはいえ、読めないほど小さくすべきではありません。
読みやすさを高める行間設定
適切な行間は可読性を大きく向上させます。一般的に、本文テキストの行間は1.5~1.8程度が読みやすいとされています。行間が狭すぎると詰まった印象になり、広すぎると文章のまとまりが失われます。
また、行の長さ(1行あたりの文字数)も重要な要素です。PCサイトでは1行あたり40~60文字程度、モバイルサイトでは30~40文字程度が読みやすいとされています。これより長いと、次の行の先頭に目を移すのが難しくなります。
適切な行間設定は、ECサイトの商品説明文など長文を読ませる部分で特に重要です。読みやすさが向上することで、顧客が商品情報を正確に理解し、購買につながる確率が高まります。
まとめ
WEBデザインにおけるフォント選びは、サイトの印象を決定づける重要な要素です。和文・欧文フォントの特性を理解し、視認性・可読性・判読性のバランスを考慮したフォント選択が求められます。
- サイトの目的やブランドイメージに合ったフォントを選ぶことが重要
- 見出しと本文で異なるフォントを使い、視覚的階層を作る
- フォントは2〜3種類程度に抑え、統一感を保つ
- WEBフォントサービスを活用して表現の幅を広げる
- 適切なフォントサイズと行間設定で読みやすさを確保する
適切なフォント選びがユーザー体験の向上につながり、結果としてコンバージョン率の向上や顧客満足度の向上につながります。効果的に活用して、魅力的なWEBデザインを実現してください。
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